すでに終身雇用制度は崩壊していた
転職マニアが小学生だった頃、塾の先生がよくいってました。
「日本は世界一の経済大国なんです。」
「みなさんが社会人になるころは、さらに日本が世界経済の中心になってると思いますよ。」
時代はちょうど、アメリカのニューヨークマンハッタンにあるロックフェラーセンターを三菱地所が買収していたころでした。
不動産価格や株価を中心とした資産の尋常じゃない上昇と好景気は、約51か月間、昭和61年(1986年)12月から平成3年(1991年)2月まで続き、バブル景気と呼ばれていました。
そのバブル景気が数年後に跡形もなくはじけることになるだろうとは、当時誰も想像すらできてなかったと思います。
バブル崩壊で日本は経済大国1位の地位を失うことに
しかし、バブルは崩壊しました。地価は下落し、株価は暴落。融資は焦げ付き、貸し剥がしを食らった中小零細企業を中心に企業の倒産が相次ぎました。
バブル崩壊によって、日本はそれまでの「ジャパン・アズ・ナンバーワン(経済大国1位の地位)」を失うことになります。
学生だった転職マニアには、当時日本経済に何が起きているのかはわかりませんでした。
ですが、バブル期とバブル崩壊後の日本と明らかに違うものを肌で生々しく感じ取ることはできました。
バブル期、将来の可能性に満ちた、躍動感のある空気は、バブル崩壊後全く感じなくなり、かわりにどんよりとした重い空気が日本全体を覆っていたような感覚がありました。
日本は将来どうなるんだろう。
それを真剣に自分の事として考えたのは、転職マニアが大学生になって就職を考え始めたころでした。
終身雇用されないの?
転職マニアの父親は、某大手鉄道会社に勤務していました。
転職マニアが就職を目前にしていた当時、父親は定年まであと3年を残すのみとなっていました。
新卒から40年間、一度も転職することなく、その大手鉄道会社だけに勤めた父は、それなりに重要な役職に上り詰めていました。
時代は不景気だからと言って、父の鉄道会社は社会インフラとして必要不可欠な会社ですから、民間企業では珍しく不景気とはあまり縁のない会社でした。
そんな父親の背中を見て育ったこともあり、転職マニアは会社は一度社員を雇ったら、定年退職するまで終身雇用するのが当たり前なんだとずっと思いこんでいました。
実は転職って言葉、就職活動するまで知りませんでした、、(汗)
何でも、今の時代は景気が悪いことが原因して、一生涯企業が従業員の面倒を見ることが出来なくなっており、その結果、転職といって定年までの間に会社がいくつか変わる可能性がとても高くなってきているというのです。
転職マニアは青ざめました。
転職先が見つからなかった場合は、どうやって生きて行くのだろうか?
そうだ、身分が法律で手厚く保障されている公務員になれば、一生涯食いっぱぐれることはないんじゃないか!
終身雇用制度ってすでに崩壊しちゃってたんだな、それにしても何かとんでもない時代に生まれてしまったな。
・・・公務員か、確か試験を受けなきゃいけないんだよな。
転職マニアはいそいで、大学の近くの資格予備校に公務員受験のパンフレットをもらいに駆け込んだのでした。
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