「近いうち上場」が口癖の会社には要注意!【その日は永遠に訪れません】
どんなに小さな規模の会社であっても、それを一代で築き上げた(あるいは社長の地位まで上り詰めた)社長としては、時々大きなことを言ってみたくもなります。
「見栄や虚勢をはって、自尊心を満たし、自分を鼓舞して新たなプレッシャーをかけ、更なる原動力とする。」
毎日のように朝っぱらから「大きなこと」や「意識高い系のこと」ばかり浴びせられると、社員の立場からすると正直うんざりしてしますが、「社長業ってのは孤独なのだ」と、生暖かい目で見守ってあげるのも、大人の対応と言えなくはありません。
ですが「うちは近いうち上場予定だから」が口癖の会社には要注意です。
こうした傾向はとくに自称「ITベンチャー企業」のオーナー社長に多いです。
話半分どころか、真に受けず「何かまた社長が言ってるな」ぐらいの感じで聞き流すようにしましょう。
大事なことはあくまで「自分軸」で仕事と向かうことなので、こうした社長の夢に盲目的に振り回されると、貴重な社会人人生を無駄にするリスクが高まりあmす。
1.社長さん、あなたの会社は上場するほどの高い価値はありますかね?
上場することで、とんでもない大量の資金が会社に流れ込んできますが、もちろんこれは社長のポケットマネーになるわけではありません。
出資する人は、その投資したお金がもっと大きくなって帰ってくると期待していますから、その期待を裏切らないように、その資金を元に新たな事業をはじめ、利益を株主に還元する必要があります。
つまり、伸びしろのある会社でない限り、上場する必要なんてないですし、むしろ株主の期待を裏切ることになるので、上場なんてしちゃだめってことです。
にもかかわらず「上場するぞ!」が口癖の社長さんの大半は上場後のシナリオを考えていません。
こうした無計画な社長さんにぜひ言いたいのが、「社長さん、あなたの会社は上場するほどの高い価値はありますかね?」ってことです。
資金が集まってはきますが、それは投資家から預かったお金ですので、利益を増やして返さなきゃいけないという宿命があるということを理解しているのかということ。
資本金の大半を出資しているオーナー社長は、会社を上場することで、巨万の富を得ます。
2.上場ゴールは社長が得するだけです。
「上場ゴール」なんて呼ばれていましたが、ITバブルのころ、マザーズなどの新興市場に上場しては、自社株を売り抜けて、大富豪になったIT億万長者が多数出現しました。
ITバブルはとっくにはじけていますが、そのタイミングで上場できなかった泡沫ITベンチャー(自称)企業が、その時の夢を捨てきれていないってパターンを多く見かけます。
どこにでもありふれているサービス内容の会社なのに、「うちはいつか上場予定の有望な企業だから」なんて本気で言っている社長がいたら、「社長どうして上場したいんですか?上場して集めたお金でどんなサービスを始めるんですか? そのサービスって上場しないとやれないサービスなんですか」って聞いてみてもいいかもしれません。
「うーん。今のところノープランかな。そのうち詰めていく予定」
なんて返事が返ってきたら、その上場に大義がない証拠。
ステークホルダーのことをいい加減に考えて、自分の懐を肥やすことだけを考えている証拠ですね。
そんな会社に、自分の貴重な社会人人生をかける価値もなければ、働く意味もたいしてない気がします。
IT企業で働くこと自体は、スキルを身に付けること考えると意味のあることですので、転職可能なキャリアが十分形成できたと判断出来たら、こうしたIT企業への転職に強い天職エージェントを使って、今よりももっと将来性のある企業に転職するのが良いでしょう。
3.「誰でもできる参入障壁の低い事業」に上場の需要はありません
ITの世界では特に顕著ですが、デジタルの世界だけに、似通ったサービスになる傾向が高いです。
事実、ITベンチャー企業のサービス内容を見ると、どこも他社のサービスと似通った事業ばかりです。
そして誰でもできる「参入障壁の低い事業」が多いのも、ITベンチャー企業の特徴です。
そのような金太郎飴のような事業内容の会社が上場できるほど、世の中甘くはありません。
「誰でもできる参入障壁の低い事業」は、人の役に立つサービスであったとしても、上場の需要はそれほどないと感じています。
今の社長から「上場の際には、お前たちにもストックオプション付与してあげるから」なんて甘い言葉をかけられることもあるでしょう。
ですが、そんな時こそ、その会社の事業が、本当に上場する価値があるのか、伸びしろはあるのかを、自分の頭で判断して、会社を見切る判断能力を付けることがとても大事になってくると確信しています。