中高年の転職、年齢制限は何歳まで?
「中高年になるにつれて、転職は厳しくなってくるよ」
社会人であれば、どこかしらでこのようなことを聞いたことがあると思います。
言われているように、中高年の転職は本当に厳しいのでしょうか?
厳しいとしたら、
- 何歳ぐらいから転職が難しくなるのでしょうか
- 転職するのに「年齢制限」があるのでしょうか
- 転職が難しい年齢になったら転職自体が不可能になるのでしょうか
詳しく解説していきたいと思います。
1.転職市場でいう中高年とは35歳ぐらいから
中高年の転職について解説する前に、そもそも何歳から「中高年」扱いされるのかの認識を合わせておく必要がありますよね。
「健康日本21」という厚生労働省の資料に、「中高年」の年齢的な定義が書かれてありましたので、ご紹介したいと思います。
- 幼年期・・・0歳~5歳
- 少年期・・・6歳~14歳
- 青年期・・・15歳~30歳
- 壮年期・・・31歳~44歳
- 中年期・・・45歳~64歳
- 高年期・・・65歳以降
この定義によると、「中高年」とは45歳から64歳ぐらいまでの男女のことを指していると見て取れそうです。
ですが、転職市場でいうところの「中高年」はもっと若い世代のことを指しており、おおよそ35歳を超えたら中高年と考えておいて差し支えないと思います。
つまり、仕事上は35歳を超えてきたあたりから、周りから中高年扱いされるということです。
2.転職のピークは「35歳」を超えたら急激に落ちてくる
結論から言いますが、転職市場で中高年とされる「35歳」を過ぎると、急激に転職するのが難しくなります。
もちろん個人差はあるため、「35歳」を過ぎると、誰もが転職が難しくなるわけではありません。
ただし、31、32歳の頃に、ある程度の実績があれば、ある程度の企業が興味を持ってくれるという状態からはガラリと様相が変わるのは、おそらく37歳、38歳ぐらいで実際に転職活動をしてみたことがある人であれば、実感があると思います。
そして、35歳といわず、36歳、、、39歳と、それ以降一つ歳をとるごとに、年々転職することは難しくなっていく現実に直面します。
そのため、基本的には、「転職を考えているのであれば1年でも早くする!」というのが、転職の基本的な考え方になります。
優柔不断な人にありがちですが、転職しようかどうしようか迷って月日を無駄にするぐらいなら、初めから転職など考えない方が良いでしょう。
それだけ、年齢は転職の時に重要視されるということです。
※ここでいう転職とは「正社員転職」のことであって、「派遣社員に転職」するのは、40歳手前ではそんなに難しくありません。
3.転職の年齢制限は法律で禁止されているが、実際にはあからさまに行われている
ここまで、転職には求職者の年齢がとても重要視され、中高年に突入する35歳を過ぎたころから、年々正社員転職が難しくなるという話をしました。
「でも難しくなるだけで、年を取ってからの転職が不可能ってわけではないんですよね?」って思う人も当然いらっしゃるでしょう。
そこで問題なってくるのが、「転職に年齢制限」があるのかどうか、求人の年齢制限の有無です。
年齢制限があるのであれば、転職自体が不可能ということになり、一定年齢を超えて職を失ってしまった人は、就職できずに生きていくことができなくなってしまいます。
ただし、「求人に年齢制限を設けること」は、年齢による差別ということで法律で認められていません。
雇用対策法が平成19年10月に改正されたのですが、ここで「求人募集において年齢制限を設けることを禁止する」と明記されるようになったのです。
そのため、企業側が採用活動をする際、条件欄に「40歳以上は不可」などと書けないということになります。
法律は順守しないと罰則がありますから、どの企業も採用条件の欄に、「年齢制限」について明記していません。
ただし、実際の採用現場では、暗黙のうちに年齢によるフィルタリングが行われているところは多く、40歳を過ぎていると「書類選考の時点でアウト」というところも結構あるようです。
3-1.雇用対策法についての補足
実は雇用対策法の改正によって、国は事業者が労働者の募集・採用に関して、「年齢関係なく公平な機会を与えなければならない」ことを定めています。
平成19年10月からですが、つまり企業側は募集・採用において、年齢を理由にして採用拒否をすることができなくなったということです。
なので、ルールとしては「中高年の転職市場において、年齢制限はない!」と決められていつことになります。
しかし、実際の採用の現場では、年齢を理由とした採用拒否はこれまで同様行われています。
確かに、人材採用ページには表立っては何歳以上は採用対象外とは書いてはいませんが、「年齢的に厳しいな」と採用者が感じた場合、書類選考で不可にされることがほとんどです。
そう思われる年齢が、ちょうど中高年と言われる年齢に合致することが多いのです。
つまり、中高年の転職は圧倒的に厳しくなるため、転職を考えているのであれば、40歳になる前までに余裕をもって済ませておいた方が安心だということは言えると思います。
ここはブラックボックスになるため、100%アウトということではないですが、年齢制限は実際には行っている会社が少なくないと知っておいた方が良いでしょう。
4.企業が欲しい人材であれば中高年であっても何の心配もない
ここまで「中高年になってからの転職の絶望」について書いてきましたが、これはあくまでも一般論なので、必要以上に心配する必要はありません。
なぜならば、どの時代でも企業が採用活動をするのは、「欲しい人材」があるからで、その欲しい人材に一番近い存在でありさえすれば、中高年だろうが、50代であろうが、企業側は全力で採用してくるより他ないからです。
べつの言い方をすれば、中高年になって転職に困るようなキャリアを積むべきでなく
- コモディティー化しない
- 器用貧乏にならない
- 誰でも出来る仕事に手を伸ばさない
という戦略がとてもが大事になってきます。
要は、スキルに大した差がないのであれば、どの企業も、中高年の人材よりも「若くて体力もあって長く働ける若者」を選ぶのは当たり前なので、「誰でも出来ることを広く浅く極める」ような、他の人材との差別化につながらないキャリアの積み方はとてもリスキーだということを知っておいた方が良いと思います。
つまり、中高年だから転職できないということは全くなく、これまで培ってきたキャリア次第だということです。
転職エージェントといって、求職者のキャリアとそれを求める企業をマッチングさせる人材のプロがいますので、まずは転職エージェントに登録し、担当コンサルタントにアドバイスを求めることから始めると良いでしょう。
※参考:転職活動で活用すべきおすすめの転職エージェントの実態
ただし、20代、30代と同等のキャリアしか持ち合わせていない場合、ほとんどの企業ができるだけ若い人材を採用したいと考えているため、その場合は自分が希望している就職先への転職は厳しくなると考えられます。
5.年齢に見合ったスキル、キャリアを持った中高年を欲しがる企業は多い
当たり前ですが、年齢に見合ったスキル、キャリアを持った中高年を欲しがる企業は多いので、40代以降でも転職先はあります。
そもそも中高年の転職が厳しいのはなぜなのかですが、「ほとんど同じ能力の社員であれば、年齢の若い方が無茶がきくし使いやすいから」ということにほぼ集約されます。
なので、20代や30代などの社員と同じことしかできない中高年の転職が厳しくなっていると言い換えることができます。
そのため、「年齢に見合ったスキル、キャリアを持った中高年」であれば、中高年になったからといってほしがる企業は多いと思います。
40代、50代でヘッドハンティングされる人多くいますが、そうした人はまさにその典型と言えるでしょう。
ただ、どの企業が、どのような中高年を欲しがっているのかは、求職者の方からはなかなかわからないものです。
転職エージェントには、求人企業、転職市場を熟知したコンサルタントが、求職者に合致した企業をマッチングしてくれるので、自分ひとりで悩むのではなくて、まずは転職エージェントに登録して相談してみることから始めるのが中高年の転職のはじめの一歩になってきます。