海外企業への技術流出かどうかのポイント
ここのところ海外企業への技術流出が問題となっています。
確かにメーカー系の企業にとって、自社の技術力やノウハウは命ですから、自社の身を守るためにその流出を全力で阻止したい気持ちはよくわかります。
また日本としても、日本の企業の技術が海外に流出することで、「日本企業の売り上げ減」→「日本国の税収減」につながることは当たり前ながら避けたいでしょうから、国として注意喚起するのは、理解できます。
ただし、日本メーカーで働いていたエンジニアが海外企業にエンジニア転職することは、当たり前ですが何の問題もありません。
今まで仕事を通じて身に付けた技術を他社で発揮することは、自分自信を人的資本として働くサラリーマンとして当然のことだからです。
製造業においての技術流出問題とは何か?
技術流出というのは、技術データを他社で流量するレベルのものです。
そこに海外企業も国内企業も関係なく、当然ながら損害賠償を伴う技術漏えい訴訟に発展するでしょう。
ですが、今まで仕事を通じて身に付けた技術を他社で発揮することの、何が問題なのでしょうか。
エンジニアが同業他社に転職できないのであれば、会社をクビになった社員は、路頭に迷えとでも言うのでしょうか。
製造業においての技術流出問題とは、その会社で規定している社内規定を破ることです。
社外秘文書を持ち出したり、自社開発しているプログラムデータをコピーして社外の企業に持ち出したり、そうした会社の知的財産を犯す行為ですね。
「お前はうちの会社を退職するんだから、他社で活躍するな!お前がライバル他社で活躍することは、弊社の不利益につながる!!」
こんな傲慢を言うアホ上司やブラック企業はあまりいないと思いますが、人権侵害にもほどがありますので、そんな会社辞めて正解ですね。
製造業においての技術流出問題とは何か?
むかし日本のメーカー企業がぶっちぎりで世界最強を誇っていた時代がありました。
- 東芝
- ソニー
- 日立製作所
- 松下電器産業(パナソニック)
- 三菱電機
- 日本電気(NEC)
- シャープ
- 富士通
もちろん、これらの大手メーカーは今でも世界有数の大企業です。
ただ昔は今以上に海外の企業を引き離して圧倒的な技術力、売り上げ規模、時価総額を誇っていたのです。
こうした日本の技術力・知的ノウハウが欲しかった海外の途上国のメーカー企業は、何らかの理由で日本のメーカーを退職したエンジニアの採用に力を入れたのは事実でしょう。
こうした事態が重なるのと時を同じくして、円高が長く続いたこともあり、輸出がキモである日本のメーカー系企業の弱体化、アジアのライバル企業の台頭が顕著になったこともあり、海外への技術流出が大きくクローズアップされたということです。
経済産業省も、ことの重大さに警鐘を促しています。
近年、我が国製造産業においても、IT化、サプライチェーンのグローバル化、取引関係の(ケイレツから)メッシュ化、人材の流動化等により、技術・ノウハウを巡るトラブル増加の兆しが見受けられる。
こうした中で我が国においても、各企業における技術・ノウハウの適正管理の取組みが求められるほか、海外への技術流出に対して官民の役割分担を踏まえ、必要な対策を講じることが求められている。
ですが、国産企業で働いていた社員が、転職して海外の企業で働くことは、グローバル化した現代社会において、あたり前のことです。
そうした現実を前に、海外企業に転職する社員を冷たい目で見る人がいるのは、あまりに悲しいことです。
こうしたグローバル社会になった以上、会社の方が考え方や経営のあり方を変えるべきなのではないでしょうか。