中年ニートが増える理由と社会復帰の方法
ニートというのは、15〜34歳までの非労働力人口のうち「通学」も「家事」もを行っておらず、就職活動や職業訓練も受けていない状態の「基本無職」の人達のことを指します。
よくフリーターとニートが混同されて使われるケースを目にしますが、アルバイトなどで生計を立てているのがフリーターなので、無職であるニートとは「就業意欲があるかどうか」という点において全く異なる分類になります。
日本全国のニート人口は実に60万人とも言われています。
ただ、ニートは働く気さえあれば、年齢的に定職を見つけることもまだまだ可能ですので、家族や友人や本人の行動力次第で、社会復帰することはそれほど難しいことではありません。
それより深刻なのは35歳以上の中年ニート(中高年ニート)が近年増えてきているという事実で、若年ニートと異なり、30代後半、40代、50代と年齢が高くなればなるほど、職探しが難しくなってしまうという問題を抱えています。
ここでは、中年ニートが増える理由と社会復帰の方法について書いてみたいと思います。
120万人中年ニートが生まれる背景と末路と社会復帰の方法について
中年ニートというのは、マスメディアが作り出した「造語」だと思いますが、定義的には35~59歳のニートを中年ニートと位置付けているようです。
総務省の調査によると、2016年時点での中年ニートの数は、34歳以下のニートの数の2倍以上で、約123万人にものぼるようです。
中年ニートというと、職を失って肩を落としている中年男性を思い浮かべる人もいると思いますが、例えば独身女性で中年ニート状態が長く続いてしまいネットカフェ難民化している人も少なくありません。
中高年ニートの数が多いと国は税収を得ることが出来ませんから困ることになりますが、私たちが一番危惧すべきは、誰もが中年ニートになる可能性があるという現実です。
そこで
- 中高年ニートがなぜここまで増えてしまったのか
- 中高年ニートになってから社会復帰できる方法はあるのか
- 中高年ニートになってしまうとどういう末路が待っているのか
について順に掘り下げてみたいと思います。
1.転職市場で評価されるキャリアを持っているかどうかが全て
中高年ニートがここまで増えてしまった背景には、キャリアにエッジが効いていない「ジェネラリスト的」なコモディティ人材が増えてしまったことにあると考えられます。
誰でもできることであれば、採用企業側が、コストのかかる中高年ではなく、コストのかからない若い人材を採用したがるのも、合理的な判断としては理解できます。
そうなりたくなかったら、自分の仕事での得意分野を20代のうちに確立しておき、そのキャリアを経験年数を経るごとに積み重ねていくしかありません。
ITエンジニアを例にするとわかりやすいですが、22歳の新卒の見習いプログラマーと40代の経験20年以上の即戦力プログラマーとでは、人材としての価値が天と地ほど離れており、中高年になろうが即戦力エンジニアが転職で困ることはありません。
2.即戦力人材になれば無職になっても怖くない
つまり、雇われ人として最も大事なことは、今の会社にしがみつくことではないってことです。
超大手企業でも、前触れもなく倒産の危機が訪れますし、そうなると社員の人員整理・リストラなんて簡単に現実化します。
会社を信頼しすぎて自分の人材価値を伸ばすことをおろそかにしてしまっては、会社の看板がなくなったらただの人になってしまいます。
仮に何らかの理由で無職になっても、転職市場で評価されるキャリアを持っているか否かで、中年ニートから社会復帰できるかどうかが決まってくるってことです。
「どの会社に所属しているか」ではなく「転職市場に評価してもらえるキャリアを形成できているか」を重視すべきなのは、こうしたことが背景にあるためです。
3.中高年ニートになったら自力で這い上がるしかない
最近「中高年ニートの末路」ってワードを雑誌やメディアやブログ等でよく目にする機会が増えました。
それだけ働いている多くのビジネスマンが興味関心を持っているってことでしょう。
要は、中年ニートになってしまったら、その後どうなってしまうのかという漠然な不安を多くの人が感じているということだと思います。
中高年ニートは、35歳以上で職を失った人のことなので、そのままだと無収入で食べていくことが出来ません。
預貯金が多少あったとしても、生活費や翌年の住民税などですぐに底を尽きてしまいますし、結婚している人であれば、一家離散の危機も現実味を帯びてきます。
両親や兄弟に世話になっているケースもありますが、今や70代、80代の両親だっていつまで元気かわかりませんし、兄弟にだって家族があるので、迷惑はかけられません。
住宅ローンなど借金が残っていればかなり悲惨なことになりますし、貯蓄が底をつきて生活保護を申請しても、受給できなければホームレスになる可能性だってあるでしょう。
なので、中年ニートになったら自力で這い上がるしかありません。
その道はかなり険しいものになることが考えられますが、中年で職を失ってから社会復帰している人も少なからずいるので、行動していくしかありません。
まず、社会人経験が長い人は、自分のこれまでのキャリアを全てピックアップするところから始めます。
「自分では大した経験はしてきてない」って思ってる人でも、転職のプロから見ると、転職市場で評価される経験を積んでいる場合もありますので、転職エージェントに相談してみるのも、有効な選択肢の一つです。
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一方、同じ30代後半であっても、社会人経験がほとんどなく中年ニートの人の場合、いきなり経験者採用枠で職を見つけるのは現実的ではないので、自分の興味があって得意な仕事を求人サイトで探して、アルバイト、非正規雇用であっても、1日も早くキャリアを積み重ねることから始めることが大事になってきます。
どのような働き方であっても、中年ニートになってしまったら、「社会の一員として仕事を再開すること」を第一に、しんどくても職探しを続けていくことが大事になってくると考えられます。
中年ニートにならないために学生のうちにすべきこと
これまで見てきた通り、30代後半を過ぎると、これまでしっかりキャリア形成してきた即戦力人材を除くと、正社員転職が非常に難しくなるため、中年で職を失うと「中年ニート」になってしまう可能性が少なくありません。
30代後半でそうなのですから、40代、50代で仕事を失って中高年ニートになってしまったら、そこから脱出することがいかに難しいことかはわかってもらえると思います。
そうならないために大事なことは、就活に備え、学生時代から「自己分析」や「業界研究」を徹底して行っていくということです。
一番ダメなのが、大手だったらどこでもいいから就職するというスタンスで行き当たりばったりで就活することです。
自分の興味もない仕事に情熱を持てるはずもなく、そんな仕事のできない人材が、中年になって職を失ったとき、興味を持ってくれる企業が存在するわけがありません。
中年ニートにならないために学生のうちから、自分の得意なことをどんな仕事で発揮できるかを真剣に考え、就活に失敗しないような備えをすることが大事になってくると、私自身、自らの経験も踏まえ強く確信を持っています。