みなし残業が形だけの会社の見分け方
みなし残業というのは、一定時間の残業を見越しておいて、その時間内の残業については給与の中にあらかじめ盛り込んでおくというものです。
このみなし残業を定めている会社はけっこうあります。
みなし残業自体は問題ない行為で、例えば月20時間のみなし残業を決めている会社であれば、その20時間の残業代は事前に給与に含めていますということになります。
ですが、このみなし残業が形骸化、ブラック企業の温床になってしまっている現実があることを行政機関や政治家のみなさんはわかっておいた方がいでしょう。
おそろしいみなし残業の会社の一例をご紹介します。
問題はみなし残業という制度ではない
私の知人が勤めていた会社のことなのですが、月70時間みなし残業としている会社がありました。
その会社は、会社説明会や面接時に求職者である知人に対して、「うちの会社はどちらかというと残業が多い方だけどその点は大丈夫か?」という説明は受けたそうです。
知人がどのぐらい残業が多いのかと聞いたところ「繁忙期にかなり忙しくなるが、仕事が落ち着いてる日は定時に帰れる」との回答があったとのこと。
そのため知人も、みなし残業が70時間分あるということは知っていたので、残業が増えても70時間までの分は基本給に含まれているということは、承知して入社したそうです。
今回の件に関して言うと、「みなし残業という制度そのもの」や「みなし残業設定時間の多さ」については、求職者も事前に納得の上で入社を決めているので、問題はないと思います。
しかし、その後悲劇は待ち受けていました。
みなし残業の枠を超えた分も払わないブラック企業があるらしい
入社後はじめてわかったそうなのですが、その会社は土日祝日も出勤が当たり前で、毎月の労働時間が400時間を超える過酷な職場だったそうです。
毎月労働時間が400時間を超えるということは、土日祝休日も含め毎日働いたとしても、毎日16時間以上働かなくてはいけない、典型的なブラック企業なわけで、入社前に説明されていた「残業自体は多い方だ」「繁忙期以外は定時で帰れる」という説明だけでは到底説明責任を果たしていないといえるのは明白です。
さらに、この会社には「タイムカード」がなかったそうです。
つまり、みなし残業時間が70時間なのに、それを超える残業時間を計測することをせず、結果この会社の社員はほとんど全員が月70時間を大きく超える残業をしていたのにも関わらず、誰も残業代を1円ももらうことができなかったそうです。
世の中には、こうした許せないタイプの悪質なブラック企業が存在しています。
話を冒頭に戻しますが、みなし残業が形だけの会社の見分け方としては、面接時に必ず
- 御社の月の平均残業時間はどれぐらいでしょうか?
- みなし残業を超えた残業代は必ず支払われますか?
- 社員の勤怠はどのように管理していますか?
という点を少なくとも確認するようにしましょう。
こうした点をごまかそうという姿勢が面接時に見受けられたら、その会社には入社しないことをおすすめします。